イノベーション
日経新聞に連載されていた記事に触発されて「デザイン思考と経営戦略」 という本を図書館で借り、読了した。 以下はその要約とデザインの初期の段階の打ち合わせでやっては行けないことを書いてみた。
要訳
興味あるものやサービスを事業化して大きな利益を生むために、「デザイン思考」で開発を行うということは、結果的にAppleがやってきたことである。技術やマーケティングに集中せず、フィールドに出ていき、人を観察し製品のアイデアを醸成していく。何を作ればいいかを考えたら、完璧でなくていいので直ぐに実際に工作して簡単なプロトタイプを作る。さらにその後CADや加工機械を使って試作し、フィールドに持ち込み使ってもらう。
アップル、GoogleあるいはFacebookといった会社はアメリカでも特殊。こうした会社を除くとアメリカの大企業と日本の大企業は同じ問題を抱えている。こうした会社はイノベーションが嫌いである。だがここを抜け出したところが生き残る。なぜならもうかつての市場は存在しないから。
やっていはいけないこと
■ 利口ぶってはいけない。
間違ってもいいし、変なものを作ろうとしてもかまわない。
イノベーションはいま存在していないことを作り出す作業なので、
説明ができたりわかりやすかったりしてはイノベーションではない。
ミーティングをしていると利口に振る舞うメンバーが生まれる。
ビジネススクールや経済学部出身者がこうした議論をすることが多い。
こうした発言が出ると、イノベーションは起こらなくなる。
ファシリテーターは上手にこうした態度に介入する必要がある。
■ 可能性を検討しているときに、実効性を議論しない
可能性を検討しているときに現実問題を持ち込んではいけない。
誰が実行するのか、いくらかかるかなどはあとで考える。
これは学生の議論でもよくある。価格とか販売網とか製造する場所とか
そういったことは可能性を考えるときには関係がない。
誰の為になにを作るのかを考える方がどう作るかより大切なのだ。
■ 間違いは普通
イノベーションは時間がかかるが、経営陣は短期間で結果を求めすぎる。
三年かければものになるイノベーションを一年で評価する。
最初のプロトタイプは基本的に失敗である。そこから本当のイノベーションが始まる。
デザイン思考を導入して最初のプロトタイプで成果を評価するのは最もやってはいけないことである。サプライチェーンの効率性の検証ではないのだ。
奥出直人 「デザイン思考と経営戦略」 ISBN978-4-7571-2294-9