国立劇場小劇場にて開催されている文楽に初めて行ってきた。
事前に文楽の基礎知識を得ようと横浜泉図書館にて下の写真の解説本を入手し、勉強してみた。
実はこれを借りる前に、別の入門書を借りたのだが初心者にとって余り優しいものではなかったので、改めて図書館で物色しこの本を借りたもの。写真を多く多用し、1頁あたりの文字数も適当なので、今度はすいすいと読み進むことができ、有益な本だった。
古浄瑠璃では人形遣いはたった一人であったこと、また竹本義太夫と近松門左衛門が「太夫」と「作者」のコンビで文楽/人形浄瑠璃の大繁栄の基礎を作ったことも知る。更に現在では人形遣いの役割分担として「主遣い」「左遣い」「足遣い」の三人で一体の人形を操る。ただし脇役の人形は一人で操る。
公演1
良弁杉由来
これを短く要約したサイトもあるので見ていただきたい。
5歳の息子の光丸を大鷲に攫われた「渚の方」は、30年経ってもいまだ息子が生きているのではないかと精神錯乱状態の中、光丸を捜し歩いていた。
ふと流れていた川面に自分の顔、身なりが映りそれを見て初めて我を取り戻し、出家しようと決意していた。その川に通りかかった船で、故郷を目指そうと思っていた中、客(船頭だったか?)の一人が奈良東大寺の大僧正「良弁僧正」はその昔赤子の頃、鷲に攫われたのだと話し始めた。聞くと、運よく鷲が子を良弁杉にを投げ捨て、その子は今では大僧正となっているそうだ。
もしや我が子ではないかと思い、東大寺に行き、行き会った僧の助けもあり、最終的にその大僧正が我が子だったというハッピーエンドな世話物の話である。【世話物とは江戸時代の町人の世界をリアルに描き、当時の人々の日常の延長に広がる持つもの*(「文楽にアクセス」より引用)】
初めて見るものとして、渚の方が船に乗るや否や良弁大僧正の話が出てくる成り行きが唐突という感がしないでもない。しかしそのクライマックスでの太夫の謡い、三味線は、渚の方および子たる良弁大僧正の驚き、懐かしさ、哀れみなどの深い感情を迫真を持って表現していて、涙を誘わずにはいられない。
公演2 増補忠臣蔵
これは残念乍、忠臣蔵の配役そのものが良く理解できていないし、また病んでいる背中、腰がだんだん痛くなり状態が良くない中、更にお弁当をたらふく食べた直後ということもあり、夢うつつで鑑賞していたせいで印象が薄い。ただ一つ三千歳姫の人形がとても妖艶で奇麗だったことが印象に残った。次鑑賞の機会があれば仮名手本忠臣蔵を見てみたいものだ。